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横浜地方裁判所 昭和37年(ワ)390号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決要旨〕会社更生法による更正債権の届出は、訴の提起に準ずるものというべく、その「内容及び原因」を特定しない届出には、欠缺の補正を命じ、補正しないときは、届出を却下すべきであるが、不特定のまま調査の対象とされ、管財人の異議を受けたときも、それが不特定のままその確定を求める訴の不適法であることは、いうまでもなく、会社更生法第一二七条により右欠缺を補正することも、現在できないことであるので、右訴はこれを却下すべきである。

〔判決理由〕会社更生法によれば、更生債権を届出るには、その「内容及び原因」を明らかにすることが要求されているところ(法第一二五条)、本件更生債権届書には「貸金百二十七万五千五十五円」とのみ記載され、その「原因」が記載されていないことは当事者間に争いがないので、右届出は、前記条文に違背し、不適法なものである。かかる不適法な更生債権届出が為された場合、その届出を如何に扱うかについて、会社更生法は特別の規定を設けていないが、更生債権は、確定手続を経た上確定した場合、その旨の更生債権者表の記載は確定判決と同一の効力を有するのであるから(法第一四五条)、その届出は、民事訴訟法における訴の提起に準ずるものというべく、従つて、右のような不適法な更生債権届出が為された場合、更生裁判所は法第八条により、民事訴訟法第二二八条を準用し、欠缺の補正を命じ、補正しないときは、届出を却下すべきである。

本件更生債権は、不特定のまま調査の対象とされ、管財人たる被告の異議を受けたのであるが、かかる更生債権について、確定を求める訴が許されるであろうか。

まず、訴は、特定の権利ないし法律関係についてのみ認められるのであるから、不特定の更生債権につき、それが不特定のままでその確定を求める訴が許されないのはいうまでもない。被告は、後日追完により前記届出にかかる更正債権を特定するから、本件確定の訴は許さるべきであると主張するが、更生債権確定の訴にあつては、更生債権調査期日において異議のあつたことが訴提起の要件を為しており、従つて、被告の右主張が容れられるためには、後日特定された更生債権が本件異議を受けた不特定の更生債権と同一であることを要するところ、不特定の債権(かかるものは厳密に言えば債権ではない)と特定の債権との同一性を問題にすることはそもそも不能であるから、特定の追完を認めて確定の訴を許すことはできないものというべきである。(被告指摘の会社更生第一五〇条は、届出にかかる債権が特定している場合に、確定の訴において、債権の原因を変更することを制限した現定である。)

右の如く、原告の本件訴は、届出にかかる更生債権が「その原因」を欠く点において不適法であり、会社更正法第一二七条により、右欠缺を補正することは、現在ではできないことであるのでこれを却下することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用し、主文のとおり判決する。(小山俊彦)

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